Fulfullコラム

頭金はいくら入れる?「2割」より先に決めるのは残すお金です

2026.09.04


「住宅ローンの頭金って、やっぱり貯金の大部分を出したほうがいいのかな……」

家を買おうと考えたとき、多くの方がここで手が止まります。
手元の貯金をどれくらい残すべきか、判断がつかないからです。

ネットで調べると「頭金は2割必要」という言葉がよく出てきます。
しかし、貯金をそこまで切り崩してしまって本当に大丈夫なのでしょうか。

この記事の内容

  1. 1.「頭金は2割」は昔のルールの言い伝え
  2. 2.頭金を入れる意味と、戻ってこないという性質
  3. 3.先に決めるのは生活防衛のお金と3年以内に使うお金
  4. 4.頭金ゼロという選択が成立する条件
  5. 5.頭金に入れるか、積立に回すかの考え方
  6. 6.まとめ

「頭金は2割」は昔のルールの言い伝え

「住宅ローンを組むなら頭金は2割用意するのが常識だ」
そう親世代や周囲の人から言われたことがあるかもしれません。

実は、この言葉は現代の住宅ローン事情にはあまり当てはまらない古いルールの言い伝えです。

かつて住宅金融公庫が主流だった時代は、物件価格の8割までしかお金を貸してくれませんでした。
残りの2割は自分たちで現金を用意しなければ、そもそも家を買うことができなかったのです。

当時は住宅ローンの金利も4%〜6%ほどあり、非常に高い状態でした。
金利が高い時代には、少しでも借入額を減らすために頭金を多く入れるのが賢いやり方だったわけです。

現在の状況は大きく異なっています。

超低金利が続いており、物件価格の100%まで融資を受けるフルローンもごく一般的になりました。
制度も環境もガラリと変わった今の時代に、昔の常識をそのままあてはめる必要はありません。
僕も無理に2割を用意する必要はないと考えています。

昔の住宅ローン(高金利時代)

金利4〜6%が当たり前。
融資は8割までで頭金2割が必須だった。

現在の住宅ローン(超低金利)

金利1%未満も多数。
100%融資(フルローン)が主流。

頭金を入れる意味と、戻ってこないという性質

もちろん、頭金を入れること自体が無意味なわけではありません。

頭金を入れる最大のメリットは、借り入れする金額そのものが減る点です。
借入額が減れば、毎月の返済額が安くなり、将来支払う利息の総額も小さくなります。
金融機関によっては、頭金を1割や2割入れることで適用金利をさらに優遇してくれるプランもあります。

利息を減らせる魅力がある一方で、頭金には知っておくべき性質があります。
それは、一度頭金として支払ったお金は、壁や屋根という「家の形」に変わり、現金としては二度と手元に戻ってこないんです。

森川

一度家という形に変えたお金は、何かあってもすぐには現金に戻せません。

手元の現金を残さずに頭金を入れ切ってしまうのは、実はすごく危険な選択なんです。

僕はまず、手元のお金を守ることから考えてほしいと思っています。

例えば、500万円の貯金があるご家庭が、頭金として450万円を出したとします。
手元に残る現金は50万円です。

その半年後に、もし家族で乗っている車が壊れて買い替える必要が出てきたらどうでしょうか。
手元に現金が50万円しかなければ、足りない分は別のローンを組んで用意するしかありません。

自動車ローンやフリーローンの金利は、住宅ローンよりもずっと高く設定されています。
住宅ローンの低い金利をさらに下げるために頭金を限界まで入れたのに、結果として金利の高い別のローンを組むことになっては本末転倒です。

お金の計画は、全体の順番を間違えないことが何より大切になります。
家計の見直しはどの順番で進める?
挫折しない4つのステップ
でも詳しく解説していますが、家計全体を見渡してから進めるのが安全です。

先に決めるのは生活防衛のお金と3年以内に使うお金

頭金の金額を考えるときに、多くの方が「頭金にいくら払えるか」から計算を始めてしまいます。
この考え方を逆にするのが、失敗しないための正しい手順です。

先に決めるべきなのは「頭金にいくら入れるか」ではなく「手元にいくら残すか」です。

1
手元の全貯金額を確認する
2
「生活防衛資金」と「3年以内に使うお金」を確保する
3
残った金額だけを「頭金の上限額」として設定する

手元に残すお金は、大きく分けて2つのカテゴリーに整理できます。

  • 1. 生活防衛資金(毎月の生活費の半年分)
    病気や怪我で働けなくなったとき、あるいは突然の災害や社会情勢の変化に備えるためのお金です。
    生活費が毎月30万円のご家庭なら、180万円が目安になります。
  • 2. 3年以内に使う予定が決まっているお金
    子どもの入学費用や制服代、車の買い替えや車検費用、家電の買い替え、旅行の費用などです。
    近い将来に使うことが分かっている資金をここで確保します。

教育費の具体的な準備については、教育資金の効率的な貯め方|大学費用に慌てない準備の手引きも参考にしてみてください。

手元にある全貯金から「生活防衛の半年分」と「3年以内に使うお金」の合計を引き算します。
そして、残った金額こそが「頭金に回してもよい上限額」になるんです。

✓ 正しい頭金の決め方

  • 頭金の計算は「引き算」で考える
  • 「手元の貯金」ー「生活防衛費」ー「3年以内に使うお金」=「頭金に回せる上限額」
  • 残額が少なければ無理に頭金を入れる必要はない

この計算をして残額が少なかったなら、頭金は無理して入れる必要はありません。

なお、住宅を購入するときは物件の本体価格だけでなく「諸費用」が発生します。
不動産仲介手数料や登記費用、ローンの保証料や火災費用など、物件価格の5%〜10%程度の費用です。
この諸費用は原則として現金で払うものとして考えておくと、計画が狂いにくくなります。

頭金ゼロという選択が成立する条件

計算してみた結果、「頭金に回せるお金がゼロだった」という結果になることもあります。
結論から言うと、頭金ゼロ(フルローン)という選択は決して悪いものではありません。

手元の現金を守ったまま家を購入し、ゆとりのある暮らしをスタートさせる手法として非常に合理的です。

ただし、頭金ゼロでローンを組むためには1つだけ満たすべき条件があります。

それは「家を買った後に出ていくすべての費用が、手取り収入の25%以内におさまっていること」です。

  • 住宅ローンの毎月返済額
  • 管理費・修繕積立金(マンションの場合)
  • 将来の修繕のための積立費用(戸建ての場合)
  • 固定資産税・都市計画税の月割り額

ここで言う「家に出ていく費用」には、住宅ローンの毎月返済額だけではありません。
マンションであれば管理費や修繕積立金、戸建てであれば将来の塗り替えなどに備える自主的な積立金、さらに毎年かかる固定資産税の月割り額も含まれます。

これらすべてを合計した金額が、世帯の手取り月収の25%以内におさまっているなら、頭金ゼロで家を買っても家計が破綻することはありません。

家計の数字をひとつずつ整理していけば何とかなる、何とかする道は必ず見つかります。
僕もこの基準を守ることを強くおすすめしています。

この頭金や住宅ローンの考え方については、音声配信のふるふるラジオでも分かりやすく語っていますので、通勤時間などに聴いてみてください。

頭金に入れるか、積立に回すかの考え方

手元の資金に十分な余裕がある場合、別の悩みが生まれます。
「頭金に入れてローンを減らすべきか、手元に残して新NISAなどで運用するべきか」という問題です。

見方を変えると、頭金を入れるという行為は「住宅ローン金利と同じ利回りを持つ外れない投資」と言えます。
例えばローン金利が0.5%なら、頭金を入れることで年0.5%の利息負担を削ることができます。

今の時代のように金利がとても低い場合、手元にお金を残して運用に回すという理屈も成立します。
もし新NISAなどの積立投資で年3%や5%の成果が出れば、ローンの金利0.5%を差し引いても手元のお金は増える計算になるからです。

頭金で利息削減を確定させるか、積立投資で運用益を狙うかの比較イメージ
頭金で利息削減を確定させるか、積立投資で運用益を狙うかの比較イメージ

毎月の積立額の設定に迷う方は、手取り20万円からの新NISA。
無理なく続ける毎月の設定額
をご一読ください。
少額からの積み立てについては、積立投資はいくらから始める?
月1万円からで十分な理由
でも考え方を詳しく紹介しています。

投資に回す手法には注意すべき点もあります。
それは「世界的な景気後退などで一時的に資産が減ったときでも、売らずに積立を続けられるか」というメンタルの問題です。

✓ 判断に迷ったときの選択基準

  • 値下がりリスクに不安を感じるなら「頭金に入れて利息を減らす」
  • 一時的な値下がりに動揺せず長期的運用ができるなら「手元に残して新NISA等へ」
  • 数字上の損得だけでなく自分の「性格」で選ぶのが正解

相場が下がったときに怖くなって途中で解約してしまうくらいなら、最初から頭金に入れてローンの利息を減らしておくほうが、心の平穏につながるんです。

数字の計算上の得さだけでなく、自分の性格や不安の感じやすさに合わせて決めるのが一番納得のいく選び方になります。

まとめ

住宅ローンの頭金について、大切なお金のルールを整理します。

  • 「頭金2割」は昔の高金利時代のルールであり、今の時代に無理に守る必要はない
  • 頭金を入れると利息は減るが、一度家という形に変えた現金は二度と戻らない
  • 頭金の額を決める前に「生活防衛費(半年分)」と「3年以内に使うお金」を確保する
  • 手元に残った余裕資金だけが、頭金に回してよい上限額になる
  • 頭金ゼロでも「家にかかる全費用が手取りの25%以内」なら十分に成立する
  • 手元に残したお金を頭金にするか積立投資に回すかは、自分のリスク耐性で選ぶ

残すお金・頭金・毎月の積立のバランスは、ご家庭の収支や今後のライフプランによって答えが一人ひとり違います。
僕たちお金のプロは、相談者様と一緒に数字を並べて、安心して暮らせるラインに線を引くお手伝いをしています。

森川

頭金の額で悩んだら、まずは「手元に残すべきお金」から書き出してみてください。

順番さえ守れば、住宅ローンは決して怖いものではありません。

何とかなる、何とかする道は必ず見つかりますよ。

家を購入する前に、まずは資産形成の全体像やお金の考え方を学んでみませんか。
fulfullでは、基礎から学べる無料の「お金の勉強会」を定期的に開催しています。
自分たちだけで判断するのが不安なときは、まず勉強会で知識の全体像をつかむところから一歩を踏み出してみてください。
無料の「お金の勉強会」の詳細を見てみる

理想の住まいを手に入れることは、これからの家族の笑顔や思い出を作っていくための素敵なステップです。
順番を守って手元のお金を守りながら進めていけば、住宅ローンに追われることなく、ゆとりのある暮らしをしっかりと築いていけますよ。

無料

お金の勉強会(無料・オンライン)

記事だけでは伝えきれない「順番」を、
1時間でまとめてお話ししています。

勉強会の日程を見る

参加費無料/顔出し不要/オンライン開催

ここまで読んでくださった方へ

お金の1問1答

読み終わったあとに、「うちの場合はどうなんだろう」が残ることがあると思います。
その1つを、そのまま送ってください。
僕が読んで、返事を書きます。

LINEで質問を1つ送る

通話も日程調整もありません。
名乗らなくてかまいません。
数日のうちに、僕が自分で返事を書きます。

ブログ一覧に戻る