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国際社債の実践編|守りながら「攻める」投資の考え方

2025.10.20


投資を始めたばかりの方の中には、

「国際債券って聞いたことあるけど、よくわからない」

「社債って何?リスクはあるの?」

そんな疑問を持つ方も多いと思います。

今回のテーマは「国際社債の実践編」。

つまり、どんな商品を選び、どんなリスクと向き合えばいいのか。

初心者の方にも分かりやすく、そして自分ごととして考えられるよう、丁寧に解説していきます。


海外の国債に挑戦する

Step up

まず最初に押さえておきたいのは「国債」の基本です。

国債とは、国にお金を貸すことで利息を受け取る投資。

最もベーシックなのは「日本国債」で、特に個人向け国債は初心者にも安心な設計になっています。

日本の個人向け国債には3つのタイプがあります。

  • 変動金利型(10年満期)
  • 固定金利型(5年・3年)

金利はそれほど高くありませんが、元本が保証されるため、預金よりやや高い利回りの「超安全資産」と言えます。

銀行窓口でも購入でき、手軽に始められるのも魅力です。

一方で、「もっと利回りを高めたい」という方に選ばれているのが海外の国債です。

アメリカやオーストラリアなど、金利が日本より高い国の債券は外貨建てで発行され、為替の影響を受けます。

円安が進めば利益が上乗せされますが、円高に振れると損失になることもあります。

さらに、発行国の信用リスクにも注意が必要です。

例えば、アルゼンチンやトルコ、ベネズエラなど新興国では、政治や経済の不安定さから「デフォルト(債務不履行)」のリスクが存在します。

実際、アルゼンチンは過去9回もデフォルトを経験しています。

まとめるとこうです。

  • 先進国債券:利回りは低いが安全性が高い
  • 新興国債券:利回りは高いがデフォルトリスクがある

円だけで資産を持つのが不安な方にとって、海外債券は「守りながらも攻める」分散投資の一歩になります。

次は、もう少しリスクを取ってリターンを狙いたい方向けの「社債」という選択肢を見ていきましょう。


社債という選択肢

「社債」とは、国ではなく企業が資金調達のために発行する債券のことです。

国債よりも金利が高く、応援している企業に直接お金を貸すという楽しみもあります。

メリットとしては、国債よりもリターンが高いこと。

一方でデメリットは、発行した企業が倒産すれば元本が戻らないリスクです。途中売却もしにくいため、短期向きではありません。

例えば、ソニーやトヨタなど大手企業の社債は比較的安心ですが、無名企業が発行する「高利回り社債」には注意が必要です。

利率が高いほどリスクも高いという原則を忘れてはいけません。

社債は「国債より少しリスクを取って、利回りを上げたい人」に向いています。

ただし、債券だけでポートフォリオを組む人は少なく、多くは株式や投資信託と組み合わせて運用します。

例えば、

  • 教育資金なら「株式70%・国債30%」
  • 老後資金なら「投信50%・国債・社債50%」

といった具合に、「一つに偏らないこと」が大切です。

安心できるバランスを自分で見つけることこそ、長く続けられる投資の秘訣です。

次の章では、そんな債券投資にまつわる“よくある勘違い”を整理していきます。


債券に対する3つの勘違い

債券は「安全」というイメージが強いですが、実は誤解も多くあります。

ここでは代表的な3つの勘違いを見ていきましょう。

① 債券=絶対安全?

国が発行しているから大丈夫、と思い込む方も多いですが、国にも格差があります。

日本やアメリカのような先進国は信用力が高い一方、ギリシャやアルゼンチンのようにデフォルト(借金返済不能)に陥った国もあります。

「貸す相手次第で安全度が変わる」という視点を持つことが大切です。

② 海外の国債は利回りが高い=お得?

高金利に惹かれてブラジル国債などを購入しても、為替変動で損をすることがあります。

例えば、円からブラジルレアルに換えて投資した後、レアルが円に対して大きく下落すれば、利息を得ても円換算では赤字になることも。

「高い利回り」だけに飛びつかず、為替リスクも含めて判断することが重要です。

③ 有名企業の社債なら安心?

これもよくある誤解です。

リーマンショックのときには、誰もが知る大企業が次々と破綻しました。

企業は国と違い、潰れることがあります。

だからこそ、社債は国債よりもリスクがあると理解したうえで選びましょう。

つまり、

  • 債券も「貸す相手」でリスクが変わる
  • 海外債券は「為替」に左右される
  • 社債は「企業の経営状況」に依存する

という点を忘れないこと。

リスクを知らずに「安全だと思い込む」ことこそ、一番危険なのです。


まとめ|目的に合わせた“守りと攻め”のバランスを

ここまで見てきたように、債券投資にもさまざまな特徴があります。

種類向いている人特徴
日本国債安定重視・守りたい人元本保証・低リスク
海外国債通貨分散・利回りを狙いたい人為替リスクあり・中リスク
社債国債より高利回りを求める人企業倒産リスクあり・中〜高リスク

最も大切なのは、「自分の目的に合わせて選ぶ」ことです。

守りを固めたいのか、通貨を分散したいのか、リターンを狙いたいのか。

この軸を先に決めてから商品を選ぶことで、迷いがぐっと減ります。

投資は「攻め」と「守り」のバランスがすべて。

リスクを理解しながら、自分のペースで資産を育てていきましょう。

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