Fulfullコラム

米国2024年6月CPIの影響と個人投資家の戦略

2024.07.20



皆さん、こんにちは。

今回は最新の経済ニュースに基づいて、個人投資家としての今後の動きについてお話しします。

米国時間7月11日に発表された6月CPI(2024年)の結果や、それに伴う為替市場の動き、日本政府の介入について触れながら、

どのように投資戦略を立てるべきかを考えていきます。

早速見ていきましょう!

米国2024年6月CPIの影響

米国2024年6月CPIは、事前予想を下回った結果となりました。

このことから、物価上昇圧力が低下し、FRBが9月に利下げする可能性が高まっています。

このニュースを受けて、為替市場はドル安円高に振れましたね。

円押し上げ介入の可能性

さらに、このタイミングで日本政府が円押し上げ介入を行った可能性が高いとみられています。

1ドル161円台後半から157円台までの急激なドル円レートの変動は、通常の取引では考えられません。

政府の介入が強く疑われる状況です。

円安の最終局面とFRBの利下げ

2022年から続いている歴史的な円安は、最終局面に近づいていると考えられます。

為替介入の効果は一時的ですが、FRBの利下げ観測が強まることで、円安を食い止める効果が期待されます。

FRBが9月に利下げを行えば、ドル円レートは円高に転じる可能性があります。

日本銀行の追加利上げ観測

日本銀行が円安阻止のために追加利上げを行うという観測もありますが、筆者は最短で9月と見ています。

7月の金融政策決定会合では、国債買い入れ減額の具体策が発表される見込みです。

日本経済の2極化

円安はグローバル企業の収益を改善し、株価を押し上げる一方で、個人消費は弱い状況にあります。

円高に転じれば、個人消費は回復する一方、株価は上昇しにくくなるでしょう。

急速なドル安円高のリスク

ドル高円安が緩やかに修正されれば日本経済にはプラスですが、急速なドル安円高が生じるリスクもあります。

特に、米国景気の減速や大統領選挙の結果次第では、急速な円高が日本のグローバル企業の収益を悪化させる可能性があります。

CPIの結果から考える「個人投資家の戦略」

このような背景を踏まえ、個人投資家としては以下のような戦略を考えるべきです。

分散投資

円高に備え、外貨建て資産への投資を検討しましょう。また、国内外の株式や債券、コモディティなどに分散することがリスク管理に役立ちます。
為替リスクの管理: 為替ヘッジを活用し、急激な為替変動によるリスクを軽減しましょう。

短期と長期のバランス

短期的な市場変動に対応しつつ、長期的な成長ポテンシャルを見据えた投資を心掛けましょう。

経済指標の注視

米国のCPIやFRBの動向、日本銀行の政策など、重要な経済指標を注視し、適切なタイミングでの投資判断を行いましょう。

経済用語解説

ここで用語についていくつか解説しておきます。

・為替介入:為替介入とは、政府や中央銀行が為替市場に直接介入して、自国通貨の価値を調整する行為を指します。例えば、日本政府がドル売り円買いを行うことで、円高に導くことができます。これは輸出企業を支援するためや、インフレを抑えるためなど、さまざまな目的で行われます。

・CPI:Consumer Price Indexの略で、消費者物価指数と呼ばれます。これは、一般消費者が購入する商品の価格変動を測定する指標で、インフレ率を示すために使われます。CPIが上昇すると、物価が上昇していることを意味し、逆に下落すると物価が下がっていることを示します。経済政策を決定する上で重要な指標です。

・FRB:FRBはFederal Reserve Boardの略で、米国連邦準備制度理事会を指します。これは、米国の中央銀行制度である連邦準備制度の運営機関です。FRBは、金利の設定や通貨供給量の調整を通じて、米国の経済を安定させる役割を担っています。例えば、インフレを抑えるために金利を引き上げることがあります。

・グローバル企業:グローバル企業とは、世界各地で事業を展開している企業を指します。これらの企業は、国際的な市場で製品やサービスを提供し、多国籍な事業運営を行っています。グローバル企業は、為替レートや国際貿易の影響を強く受けるため、経済動向に敏感です。

グローバル企業の例

Apple Inc.: 米国を本拠地とするテクノロジー企業で、iPhoneやMacなどの製品で有名です。世界中で製品を販売し、多くの国にオフィスや工場を持っています。

Microsoft Corporation: 米国のソフトウェア企業で、Windows OSやOfficeソフトウェア、クラウドサービスのAzureを提供しています。世界中でソフトウェアとサービスを提供しています。

Amazon.com, Inc.: 米国のオンライン小売業者で、eコマースプラットフォーム、クラウドコンピューティングサービス(AWS)を提供しています。世界中で事業を展開し、多国籍な供給チェーンを持っています。
日本のグローバル企業の例

トヨタ自動車株式会社: 日本を代表する自動車メーカーで、世界中で自動車を製造・販売しています。グローバルな生産ネットワークと販売拠点を持ち、多数の国で事業を展開しています。

ソニーグループ株式会社: 日本の多国籍コングロマリットで、エレクトロニクス、エンターテインメント、金融サービスなど多岐にわたる事業を展開しています。世界中で事業を展開し、プレイステーションなどの製品で国際的な市場を持っています。

ホンダ株式会社: 自動車および二輪車の製造・販売を行う企業で、世界中で製品を提供しています。自動車と二輪車の市場で国際的に強いプレゼンスを持ち、多くの国で工場と販売ネットワークを展開しています。

・コモディティ:コモディティとは、商品市場で取引される原材料や農産物などを指します。例えば、金、原油、コーヒーなどがコモディティの代表例です。コモディティは、供給と需要のバランスによって価格が変動し、経済全体のインフレやデフレに影響を与えることがあります。投資家にとっては、分散投資の一環として重要な資産クラスです。

・為替ヘッジ:為替ヘッジとは、為替レートの変動によるリスクを回避するための手段です。為替市場は非常に変動しやすく、為替レートの変動によって企業や個人投資家の利益や資産価値が大きく変動することがあります。為替ヘッジを行うことで、こうしたリスクを最小限に抑えることができます。

具体例: 輸出企業の為替ヘッジ

例えば、日本の輸出企業が米ドル建てで売上を上げる場合、円高が進むとドルで得た売上を円に換算した際に収益が減少するリスクがあります。これを防ぐために、企業は為替ヘッジを行います。

・フォワード契約: 一定期間後の為替レートをあらかじめ固定する契約です。例えば、1ドル=110円の時に契約を結んでおけば、将来的に円高が進んで1ドル=100円になったとしても、110円でドルを円に換算できるため、収益が安定します。

・オプション取引: 為替オプションは、将来の特定の為替レートで通貨を買うまたは売る権利を持つ契約です。これにより、為替レートの急激な変動によるリスクを回避できます。

個人投資家の為替ヘッジ

個人投資家も、外貨建ての資産に投資する際に為替ヘッジを利用することができます。

例えば、外国の株式や債券に投資する場合、その国の通貨の価値が下落すると、投資の価値も下がります。

為替ヘッジを行うことで、為替リスクを軽減し、投資の安全性を高めることができます。

いかがだったでしょうか。

米国6月CPIの影響を理解し、個人投資家としての戦略を見直すきっかけになれば幸いです。

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