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AI研修に助成金は使える?2026年8月改正で対象外になった研修

2026.09.03


「うちの研修、助成金が使えますよ」
AI研修の営業でそう言われた、という話を最近よく聞きます。

実際、使える制度はあります。
中小企業なら研修費の75%が戻り、受講中の賃金にも助成が付きます。
うまく使えば、100万円の研修が実質20万円台になることもあります。

ただ、2026年8月3日から、この制度の中身が変わりました。
AI研修のうち、はっきり「対象外」と名指しされたものがあります。

しかも厚生労働省の資料には、こう書かれています。
生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ講義は、助成対象外。

プロンプトの書き方を教わる研修。
いま世の中にあるAI研修の、かなりの部分がこれに当てはまります。

森川

研修を申し込んでから「対象外でした」と分かるのが、いちばん困ります。

計画届は訓練の前に出すものなので、あとから直すことができません。

この記事では、申し込む前に確かめられる形でお伝えします。

この記事を読むのにかかる時間の目安:約10分

この記事で扱うもの
対象の制度
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)
何が変わったか
2026年8月3日から、汎用的な内容の訓練が助成対象外に。受講回数にも上限がついた
この記事の結論
「何を学ぶか」だけでなく「誰が受けるか」も要件。研修を選ぶ前に確かめられる

この記事の内容

  1. 1.そもそも、どの制度の話か
  2. 2.2026年8月3日に変わったこと
  3. 3.対象になる研修と、ならない研修
  4. 4.「誰に受けさせるか」も要件です
  5. 5.受講回数に上限がつきました
  6. 6.実際に、いくら戻るのか
  7. 7.やってはいけない使い方
  8. 8.申し込む前のチェックリスト
  9. 9.まとめ

01そもそも、どの制度の話か

AI研修に使える助成金として案内されるのは、ほとんどの場合これです。
人材開発支援助成金の、事業展開等リスキリング支援コース。

厚生労働省の制度で、窓口は都道府県の労働局です。
新しい分野へ事業を広げるとき、あるいはDX化・GX化を進めるときに、社員へ訓練を受けさせる費用を支援するものです。

✓ おおまかな中身

  • 研修費の75%が戻る(中小企業の場合。大企業は60%)
  • 受講中の賃金にも、1人1時間あたり1,000円の助成(中小企業。大企業は500円)
  • 訓練は10時間以上であることが必要
  • 令和8年度(2026年度)が最終年度とされている

最後の一行が、実務では一番大きいかもしれません。
このコースは令和8年度で終わる予定です。
使うつもりがあるなら、動く時期は限られています。

なお、対象になるのは雇用保険に入っている社員の受講分です。
社長や役員の分は含まれません。
同居のご家族は原則として雇用保険に入れないので、ご家族だけで回している会社は、人数がいても対象にならないことがあります。

022026年8月3日に変わったこと

厚生労働省が「令和8年8月3日からの変更点について」という資料を出しています。
変わったのは、大きく2つです。

変更された2点

  • 1対象とならない訓練が、はっきり書かれた
  • 2同じ人が受けられる回数に、上限がついた

1つめについて、資料にはこう書かれています。
DX化・GX化に関する訓練のうち、次の目的のものは助成対象外である、と。

厚生労働省の資料より

・職業、または職務に間接的に必要となる知識・技能を習得させる内容のもの

・職業、または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要なるもの

読みにくい表現ですが、言いたいことはひとつです。
「その人の仕事に、そのまま使える中身になっているか」。

全社員が同じ内容を学ぶような、一般的なAI講座。
これは「職業人として共通して必要なもの」に当たり、対象から外れる可能性が高くなりました。

03対象になる研修と、ならない研修

ありがたいことに、厚生労働省の資料には具体例が載っています。
これがそのまま判断の物差しになります。

厚生労働省が示した、生成AI研修の具体例 助成の対象になる 生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、 文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練 助成の対象にならない 生成AIを利用するために 汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ講義

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正 令和8年8月3日からの変更点について」

上と下の違いは、たったひとつです。
「営業担当者が、商品提案書を作るために」という具体が入っているかどうか。

資料には、対象外の理由も書かれています。
特定の業務への具体的適用を伴わない汎用的内容であるため、と。

ほかにも、対象外の例が挙がっています。

✗ 対象外とされた例

  • DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ研修
  • 脱炭素の基本理念や国際情勢、GX化で企業に求められる対応を学ぶ研修

いずれも「共通知識の習得にとどまり、具体的作業として業務に直接適用されるものではない」ためとされています。

つまり、概論は落ちます。
「AIとは何か」「これからの時代に必要な考え方」から入る研修は、内容がどれだけ良くても、この制度では通りません。

04「誰に受けさせるか」も要件です

ここが、意外と見落とされている点だと思います。
厚生労働省の資料には、確かめるポイントとしてこう書かれています。
訓練内容に沿って対象労働者を選定しているか。

つまり、同じ研修でも、誰が受けるかで結論が変わります。
資料に挙がっている例が分かりやすいので、そのまま紹介します。

同じ研修でも、受ける人で結論が変わる 研修の中身:自社のエネルギー使用量データの収集方法、 CO2排出量算定ルールに基づく計算手順を学ぶ 算定業務を担当する人が受ける → 助成の対象になる 人事や営業の人が受ける → 助成の対象にならない

研修の中身は同じです。違うのは、受ける人がその業務を担当しているかどうかだけです。

これをAI研修に当てはめると、意味がはっきりします。

「全社員にAIリテラシーを」という研修は、通りにくいということです。
全員が受けるということは、その人の担当業務に沿って選んでいない、と見られます。

森川

これ、制度の都合を抜きにしても、正しいと思うんです。

全員に同じことを教えても、たいてい定着しません。

実際に困っている業務がある人に、その業務のやり方として教えるほうが身につきます。制度がその形を求めているのは、理にかなっていると感じます。

05受講回数に上限がつきました

もうひとつの変更が、回数の制限です。

✓ 回数の上限

  • 同じ人が助成を受けられるのは、1年度に3回まで
  • そのうち、eラーニングによる訓練は1年度に1回まで
  • 年度は4月1日から翌年3月31日(支給申請日が基準)
  • 2026年8月3日以降に出した計画届の訓練から数えられる

気をつけたいのは、eラーニングの枠が1回しかないことです。
動画を見て学ぶ形式の研修を年に2つ受けさせると、2つめは助成が出ません。

オンラインの研修を検討している場合は、形式を確かめてください。
録画を各自で見る形なら、eラーニングとして数えられます。
決まった時間に集まって講師とやり取りする形なら、通常の集合研修と同じ扱いです。

なお、この変更には経過措置があるとされています。
すでに計画を出している場合は、労働局に確認してください。

06実際に、いくら戻るのか

数字を出したほうが早いので、ひとつ例を置きます。
中小企業が、3人に12時間の研修を受けさせた場合です。

※スマートフォンでは表を横にスクロールできます

項目 金額 計算
研修費660,000円3名・12時間
経費の助成−495,000円研修費の75%
賃金の助成−36,000円1,000円×3名×12時間
実質の負担129,000円

66万円が、12万9千円になります。
制度が使えるかどうかで、5倍の差がつくということです。

ただし経費の助成には、1人あたりの上限があります。
人数が少なく単価が高い研修では、上限に当たることがあるので、事前に確かめてください。

それから、お金が戻るのは研修が終わったあとです。
先に全額を支払い、あとから申請して受け取る流れになります。
資金繰りの上では、いったん出ていくお金として見ておく必要があります。

07やってはいけない使い方

ここは、お金を扱う立場としてお伝えしておきたい部分です。

これをやると、助成が受けられなくなります

  • 研修会社が裏で値引きや協力金を出し、実質の負担を軽くする
  • 見積書や請求書の金額を、実際の取引額と変える
  • 受けていない時間を、受けたことにする

「助成金が出るぶん、お安くしますよ」。
そう言われたら、いったん立ち止まってください。
助成金と値引きを結びつける形は、不支給の理由になります。

もうひとつ、申請の手続きについて。
助成金の申請を代行できるのは、社会保険労務士だけです。
研修会社が「申請もこちらでやります」と言う場合、その会社に社労士がいるのか確かめたほうがいいと思います。

うちも研修は行いますが、申請の代行はしません。
顧問の社労士さんがいらっしゃれば、その方にお願いしてください。
研修を行う側としては、要件に合う形で書類を整えることまでが役割だと考えています。

08申し込む前のチェックリスト

研修会社から提案を受けたら、この6つを確かめてみてください。
ひとつでも引っかかったら、その場で聞いたほうが早いです。

✓ 申し込む前に確かめる6つ

  • 1カリキュラムに、受ける人の実際の業務名が入っているか
  • 2「AIとは」「これからの時代」から始まっていないか
  • 3受講者を、その業務の担当者から選べているか
  • 4訓練時間が10時間以上あるか(半日や1日では足りない)
  • 5オンラインの場合、録画を見る形か、決まった時間に集まる形か
  • 6助成金を前提にした値引きの話が出ていないか

計画届は、訓練を始める前に出すものです。
始まってからでは直せません。
だからこそ、申し込む前のこの確認が効きます。

09まとめ

✓ この記事のまとめ

  • AI研修に使える助成金はある。中小企業なら経費の75%と賃金の助成
  • 2026年8月3日から、汎用的な内容の訓練は対象外と明記された
  • プロンプトの作り方を学ぶだけの講義は、対象外の例として挙げられている
  • 「誰に受けさせるか」も要件。全社員向けの研修は通りにくい
  • 同じ人が受けられるのは年3回まで。eラーニングは年1回まで
  • 助成金を前提にした値引きは不支給の理由になる
  • 令和8年度が最終年度とされている

制度を知っているかどうかで、負担が5倍変わります。
そして、知らずに申し込むと、あとから直せません。

AIを入れること自体は、もう避けられない流れだと思います。
だからこそ、入れ方でこれだけ差がつくところは、丁寧に見ておきたいですね。

この記事の情報について

本記事は、厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正 令和8年8月3日からの変更点について」および同コースの案内をもとに、2026年9月時点の内容をまとめたものです。
助成金の制度は改正されます。実際に申請される際は、必ず管轄の労働局、または社会保険労務士にご確認ください。
記載の試算は条件を単純にした例であり、支給を保証するものではありません。

研修を終えたあとに待っているのが、毎月のAI利用料です。
その見方については、こちらにまとめました。

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なお、fulfullでもAI研修を行っています。
この記事に書いた要件に沿う形で組んでいますので、参考までにご覧ください。

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