投資を始めたばかりの方の中には、
「国際債券って聞いたことあるけど、よくわからない」
「社債って何?リスクはあるの?」
そんな疑問を持つ方も多いと思います。
今回のテーマは「国際社債の実践編」。
つまり、どんな商品を選び、どんなリスクと向き合えばいいのか。
初心者の方にも分かりやすく、そして自分ごととして考えられるよう、丁寧に解説していきます。
海外の国債に挑戦する

まず最初に押さえておきたいのは「国債」の基本です。
国債とは、国にお金を貸すことで利息を受け取る投資。
最もベーシックなのは「日本国債」で、特に個人向け国債は初心者にも安心な設計になっています。
日本の個人向け国債には3つのタイプがあります。
- 変動金利型(10年満期)
- 固定金利型(5年・3年)
金利はそれほど高くありませんが、元本が保証されるため、預金よりやや高い利回りの「超安全資産」と言えます。
銀行窓口でも購入でき、手軽に始められるのも魅力です。
一方で、「もっと利回りを高めたい」という方に選ばれているのが海外の国債です。
アメリカやオーストラリアなど、金利が日本より高い国の債券は外貨建てで発行され、為替の影響を受けます。
円安が進めば利益が上乗せされますが、円高に振れると損失になることもあります。
さらに、発行国の信用リスクにも注意が必要です。
例えば、アルゼンチンやトルコ、ベネズエラなど新興国では、政治や経済の不安定さから「デフォルト(債務不履行)」のリスクが存在します。
実際、アルゼンチンは過去9回もデフォルトを経験しています。
まとめるとこうです。
- 先進国債券:利回りは低いが安全性が高い
- 新興国債券:利回りは高いがデフォルトリスクがある
円だけで資産を持つのが不安な方にとって、海外債券は「守りながらも攻める」分散投資の一歩になります。
次は、もう少しリスクを取ってリターンを狙いたい方向けの「社債」という選択肢を見ていきましょう。
社債という選択肢

「社債」とは、国ではなく企業が資金調達のために発行する債券のことです。
国債よりも金利が高く、応援している企業に直接お金を貸すという楽しみもあります。
メリットとしては、国債よりもリターンが高いこと。
一方でデメリットは、発行した企業が倒産すれば元本が戻らないリスクです。途中売却もしにくいため、短期向きではありません。
例えば、ソニーやトヨタなど大手企業の社債は比較的安心ですが、無名企業が発行する「高利回り社債」には注意が必要です。
利率が高いほどリスクも高いという原則を忘れてはいけません。
社債は「国債より少しリスクを取って、利回りを上げたい人」に向いています。
ただし、債券だけでポートフォリオを組む人は少なく、多くは株式や投資信託と組み合わせて運用します。
例えば、
- 教育資金なら「株式70%・国債30%」
- 老後資金なら「投信50%・国債・社債50%」
といった具合に、「一つに偏らないこと」が大切です。
安心できるバランスを自分で見つけることこそ、長く続けられる投資の秘訣です。
次の章では、そんな債券投資にまつわる“よくある勘違い”を整理していきます。
債券に対する3つの勘違い

債券は「安全」というイメージが強いですが、実は誤解も多くあります。
ここでは代表的な3つの勘違いを見ていきましょう。
① 債券=絶対安全?
国が発行しているから大丈夫、と思い込む方も多いですが、国にも格差があります。
日本やアメリカのような先進国は信用力が高い一方、ギリシャやアルゼンチンのようにデフォルト(借金返済不能)に陥った国もあります。
「貸す相手次第で安全度が変わる」という視点を持つことが大切です。
② 海外の国債は利回りが高い=お得?
高金利に惹かれてブラジル国債などを購入しても、為替変動で損をすることがあります。
例えば、円からブラジルレアルに換えて投資した後、レアルが円に対して大きく下落すれば、利息を得ても円換算では赤字になることも。
「高い利回り」だけに飛びつかず、為替リスクも含めて判断することが重要です。
③ 有名企業の社債なら安心?
これもよくある誤解です。
リーマンショックのときには、誰もが知る大企業が次々と破綻しました。
企業は国と違い、潰れることがあります。
だからこそ、社債は国債よりもリスクがあると理解したうえで選びましょう。
つまり、
- 債券も「貸す相手」でリスクが変わる
- 海外債券は「為替」に左右される
- 社債は「企業の経営状況」に依存する
という点を忘れないこと。
リスクを知らずに「安全だと思い込む」ことこそ、一番危険なのです。
まとめ|目的に合わせた“守りと攻め”のバランスを
ここまで見てきたように、債券投資にもさまざまな特徴があります。
| 種類 | 向いている人 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日本国債 | 安定重視・守りたい人 | 元本保証・低リスク |
| 海外国債 | 通貨分散・利回りを狙いたい人 | 為替リスクあり・中リスク |
| 社債 | 国債より高利回りを求める人 | 企業倒産リスクあり・中〜高リスク |
最も大切なのは、「自分の目的に合わせて選ぶ」ことです。
守りを固めたいのか、通貨を分散したいのか、リターンを狙いたいのか。
この軸を先に決めてから商品を選ぶことで、迷いがぐっと減ります。
投資は「攻め」と「守り」のバランスがすべて。
リスクを理解しながら、自分のペースで資産を育てていきましょう。