みなさん、こんにちは。
今回は「お金の歴史 第2弾」として、私たちの生活に欠かせない「お金の信用」について掘り下げていきます。
前回お伝えした金本位制から、現在の管理通貨制度への移り変わりを通じて、お金の価値と信用の関係について考えていきましょう。
前回のおさらい|金本位制とは
前回お話しした通り、人類は物々交換の不便さを解消するため、金や銀などの貴金属を使って取引を行うようになりました。
そして、貴金属の重さや純度を国が保証する「貨幣」が生まれ、さらに携帯性を高めるため、金と交換可能な「紙幣」が登場しました。
これが「金本位制」の始まりです。
金本位制の限界
しかし、この金本位制には大きな課題がありました。
それは「経済の成長に、お金が追いつかない」という問題です。
具体例で考えてみましょう:
・工場が建設され、新しい製品が作られる
・新しいサービス業が生まれ、価値が創出される
・人口が増加し、経済活動が活発になる
このように、人々の経済活動によって新しい価値が生まれても、金の量は限られているため、お金の量を増やすことができません。
この制約が経済の発展を妨げる要因となったのです。
管理通貨制度への転換
この問題を解決するため、世界は徐々に「管理通貨制度」へと移行していきました。
1971年、アメリカのニクソン大統領がドルと金の交換を停止したこと(ニクソンショック)が、現代の管理通貨制度への決定的な転換点となりました。
管理通貨制度の特徴
◆発行の柔軟性:
経済状況に応じて、必要な量のお金を発行できる。
中央銀行(日本の場合は日本銀行)が、法律に基づいて管理する。
◆金融政策の実現:
景気が悪い時は、お金の量を増やして経済を刺激する。
インフレが進みすぎる時は、お金の量を調整して物価を安定化する。
なぜ紙幣に価値があるのか?
ここで疑問が生まれます。
金との交換保証がなくなった紙幣に、なぜ価値があるのでしょうか?
答えは「信用」にあります。
以下の3つの要素が、現代の紙幣の信用を支えています:
◆法的な裏付け:
法律で「法定通貨」として定められている。
支払いの手段として認められている。
◆政府と中央銀行の信用:
経済状況を見ながら適切に通貨を管理している。
中央銀行の独立性が保たれている。
◆経済力による裏付け:
国の経済活動や生産力がある。
財政の健全性が保たれている。
信用が生み出す価値の差
国による通貨の価値の違いも、この「信用」で説明できます。
例えば、アメリカドル、ユーロ、日本円などの通貨が国際的に信頼されているのは:
〇経済が安定している
〇政治体制が安定している
〇中央銀行の独立性が保たれている
〇適切な金融政策が行われている
からです。
一方、経済的に不安定な国の通貨は:
▲インフレーションが激しい
▲政治的な不安定さがある
▲経済政策への信頼性が低い
といった理由で、信用が低くなり、結果として通貨の価値も低くなりがちです。
日常生活での応用
この「信用」の考え方は、私たちの日常生活でも見ることができます。
◆クレジットカードの例:
「クレジット(Credit)」は「信用」という意味です。
カード会社があなたの支払い能力を「信用」していることが裏付けになります。
その信用があるからこそ、後払いでの買い物が可能になるのです。
まとめ
お金の価値は、もはや金という物質的な裏付けではなく、「信用」によって支えられています。
この信用を維持するために、国や中央銀行は様々な施策を行っています。
次回は、この管理通貨制度の下で行われる具体的な金融政策について、詳しく見ていきましょう。
◆今回のポイント
金本位制から管理通貨制度への移行は、経済の発展に必要だった
現代のお金の価値は「信用」によって支えられている
通貨の価値の違いは、その国の信用力の違いを反映している
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次回の講義はこちらになります。
お楽しみに!